2026年10月24日

AIにコードを書かせるだけ?当スクールが「バイブコーディング」を授業に取り入れる理由


最近、AIを活用した新しいプログラミングの方法として「バイブコーディング(Vibe Coding)」という言葉を聞く機会が増えてきました。
RC.Lab伊丹でも、中学生以上を中心に、学習の進み具合に応じてバイブコーディングを授業の一環として取り入れています。
 
ただし、当スクールが目指しているのは、「AIにお願いして、プログラムを全部作ってもらうこと」ではありません。
 
むしろ大切にしているのは、「自分は何を作りたいのか」を考え、そのアイデアをAIとの対話を通して形にしていくこと。
今回は、なぜ子どもたちのIT教育にバイブコーディングを取り入れているのか、そして普段のプログラミング学習とどのように組み合わせているのかをご紹介します。
 

そもそも「バイブコーディング」とは?

バイブコーディングとは、生成AIに自然な言葉で「こんなものを作りたい」と伝え、AIと対話しながらプログラムやWebアプリなどを作っていく、新しい開発スタイルです。
これまでプログラミングでは、「この機能を実現するためには、どんなコードを書けばいいのか」を自分で考え、コードを書く必要がありました。
 
バイブコーディングでは、
「クリックするとキャラクターがジャンプするゲームにしたい」
「クイズに正解すると得点が増えるようにしたい」
「自分の好きなものを紹介するWebページを作りたい」
など、まず「何を作りたいか」をAIに言葉で伝えるところから始めることができます。
 
AIがコードを生成し、それを実際に動かしてみる。
イメージと違えば、「もう少しこうしたい」と伝えて修正する。
このやり取りを繰り返しながら、アイデアを形にしていきます。
 

なぜ子どもたちにバイブコーディングを取り入れるのか

理由の一つは、子どもたちが持っているアイデアと、現在の技術力との間にある壁を低くできるからです。
プログラミングを学び始めた子どもでも、
「こんなゲームを作ってみたい」
「こんなWebサイトがあったら面白そう」
というアイデアを持っていることがあります。
 
ところが実際に作ろうとすると、
「まだそのコードを習っていない」
「どうやって実現すればいいか分からない」
という壁にぶつかります。
 
以前なら、そこで諦めてしまったアイデアもあったかもしれません。
AIを活用することで、その壁を越えられる可能性が大きくなりました。
「今の自分には難しいから作れない」から、「どうすれば作れるかAIと一緒に考えてみよう」へ。
この変化は、子どもたちのものづくりにとって、とても大きいと感じています。
 

大切なのは「何を作りたいのか」を考えること

AIがコードを書けるようになると、
「それでは、プログラミングを勉強する意味がなくなるのでは?」
と思われるかもしれません。
 
しかし、私はむしろ逆だと考えています。
AIによって「コードを書く」というハードルが下がるほど、
「何を作るのか」
「なぜ作るのか」
「誰に使ってほしいのか」
「どうすればもっと良くなるのか」
を考える力が重要になります。
 
例えばAIに、「ゲームを作って」と伝えるだけでは、自分が本当に作りたいゲームにはなかなかなりません。
 
どんなゲームなのか。
誰が遊ぶのか。
どんなルールなのか。
どうすれば面白くなるのか。
どんなデザインにしたいのか。
自分の頭の中にあるイメージをAIに伝えるためには、まず自分自身が考え、それを言葉にする必要があります。
バイブコーディングは、単にプログラムを簡単に作るためだけの方法ではなく、自分の考えを整理し、言葉にし、形にしていく学びにもなると考えています。
 

「作る→試す→考える→改善する」を何度も経験できる

もう一つ、バイブコーディングと子どもたちの学習は相性が良いと感じています。
それは、試行錯誤をたくさん経験できることです。
まず作ってみる。
動かしてみる。
「あれ?思っていたのと違う」と気づく。
AIに相談する。
修正して、もう一度試す。
さらに、「ここも変えてみよう」とアイデアが生まれる。
 
このサイクルを短い時間で何度も繰り返すことができます。
完成したものだけが学びなのではありません。
うまくいかなかったときに「なぜ?」と考え、試して、改善する過程そのものが大切です。
これは、RC.Lab伊丹が大切にしている「考える力」「創る力」「試す力」にもつながっています。
 

当スクールは「バイブコーディングだけ」を教えるスクールではありません

ここは、特にお伝えしておきたいところです。
RC.Lab伊丹では、最初からAIにコードを書いてもらい、それだけで作品を完成させる授業を行っているわけではありません。
 
HTML・CSSでは、Webページがどのような仕組みで作られているのかを学ぶ。
Pythonでは、自分でコードを書きながらプログラミングの基礎を学ぶ。
デザインや動画編集でも、それぞれのツールの基本的な使い方を学ぶ。
こうした基礎学習を大切にしています。
 
そして、講師が生徒の理解度や学習状況を確認しながら、AIを活用したものづくりへ進んでいきます。
つまり、「基礎を学ぶ」か「AIを使う」か、どちらか一方ではありません。
基礎を学び、その知識を持ったうえでAIを活用し、自分だけでは作れなかったものへ挑戦する。
これが当スクールの考え方です。
 

AIが作るのではなく、「自分が作りたいもの」をAIと一緒に作る

授業でも、生徒にはAIを「答えを出してくれるもの」として使うのではなく、ものづくりのパートナーとして使うことを伝えています。
分からないことを質問する。
アイデアを相談する。
コードの意味を聞く。
エラーの原因を一緒に考える。
「もっと面白くするには?」と相談する。
 
そして、出てきたものをそのまま受け入れるのではなく、「これは自分が作りたかったものになっている?」と考える。
主役はAIではありません。
あくまでも、作るのは生徒自身です。
AIは、そのアイデアを形にするためのパートナーです。

 

これからは「AIを使える」だけでは十分ではない

これから子どもたちが社会に出る頃には、生成AIを使うこと自体は、今よりずっと当たり前になっているでしょう。
そのとき大切になるのは、「AIを使ったことがあります」ではなく、
「AIを使って、自分は何ができるのか」ではないでしょうか。
 
自分で課題を見つける。
アイデアを考える。
AIに伝える。
出てきたものを判断する。
試してみる。
うまくいかなければ改善する。
そして、自分の作品として完成させる。
 
だからこそRC.Lab伊丹では、プログラミングの基礎とAI活用を切り離すのではなく、両方を組み合わせた学びを大切にしています。
 

AI時代の「ものづくり」を子どもたちへ

プログラミング教育は、これから大きく変わっていくと思います。
「コードを正確に書けること」だけをゴールにする時代から、テクノロジーを使って、自分の考えやアイデアを形にできることが、より重要になる時代へ。
 
だからこそ当スクールでは、従来のプログラミング学習を大切にしながら、新しい学び方も積極的に取り入れていきたいと考えています。
バイブコーディングも、その一つです。
AIに全部任せるためではありません。
AIがあるからこそ、これまで形にできなかった自分のアイデアに挑戦するために。
基礎を学び、考え、作り、試し、AIと一緒にさらに広げていく。
 
それがRC.Lab伊丹が取り組んでいる「AI × ITものづくり教育」です。
 
 



著者
考える力と創る力を育てる  
子どもIT教育専門家
中農 祥平

|WEB制作会社経営16年目
|小・中学生向けIT・プログラミング教室運営6年目
|デジタル庁 デジタル推進委員

|WEB制作会社経営16年目
|小・中学生向けIT・プログラミング教室6年運営
|デジタル庁 デジタル推進委員